三月歌舞伎座・昼の部(3/17)

『女鳴神』 『鳴神』の騙しと堕落の濃密なドラマの男女を入れ替え版……男女逆だとちょっと重たそう……と思っていたが、全然そんなことはなく、随分と大らかな作り変え作だった。少し色っぽい所作事という風情で、孝太郎と鴈治郎の上方の風情が大変映える。 『鳴神』はやは……

三月歌舞伎座・夜の部(初日)

『盛綱陣屋』 言うまでもなく……と言う以上に、当然ながら……というどころではなく仁左衛門が素晴らしい。 この人自身が能動的な芝居を演じて見せる場面が「格好良い」「見事な絵面になっている」という事は言うまでもなく(言うまでもなくとばかり言っている)、注進を受……

運び屋

【役者と監督、Wの意味で「嘘(フィクション)作り」の大名人、クリント・イーストウッド。もしかするとこの映画、そんな彼自身の人生の総決算、主人公が情熱を傾けた儚い花デイリリー──最高に美しく、最高に感動的な最後の一咲き……となるのかもしれない】 「もう自分が……

『紫苑物語』西村朗

新国立劇場(2/24) 【見事なまでの駄作と評さざるを得ない。しかし、観た事自体に後悔はない】 この『紫苑物語』は三本の矢「知(歌)・殺(暴力)・魔(虚無あるいは永遠)」という主題が現代オペラに馴染むという直感をもって発注されたのではないかと推察するが(そ……

『金閣寺』黛敏郎

東京二期会公演・東京文化会館(2/22) 【時代区分としての「現代オペラ」の完成形。しかし、完成形であるがゆえに、常に最前衛である事を求められる「現代オペラ」的ではない──という不幸な自己矛盾】 初めて聴く曲。 三島由紀夫の原作が一人の男の徹底的な内面の物……

天国でまた会おう

【『その女アレックス』で各種翻訳ミステリー小説ランキングを制覇したピエール・ルメートル。 しかし、ルメートルの本を「普通のミステリー小説」と思って読んで、吃驚した人は結構多いのではないでしょうか? 思うに、この人は「ミステリー」というジャンルを手段として使……

サムライマラソン

【流行りのコメディー時代劇でもない。海外制作の「なんちゃって時代劇」でもない。さりとて、シリアスなザ・時代劇でもない……。この映画を観た人は、きっと思う事でしょう「時代劇とは何ぞや?」──と】 まずこの映画、ある点において映画史的傑作の境地に達しています。……

サスペリア

【原典ファンのお仲間からは否定的な意見が少なからず聞こえてきますが、では、そんな皆さんは一体どんなリメイクだったら満足したんでしょうね?(いや、喧嘩を売るつもりではないんです。本当にそう思うんです)……モノマネに堕さず、リスペクトにとどまらず、ここまで新し……

このサイトについて

タイトルの通り、このサイトはつぶやき以上〈140字以上〉原稿未満〈資料調査や推敲なし〉の、物書きの仕事外、映画芝居道楽の著者が一人語りの様に書く趣味のレビューサイトです。 無論、嘘・偽りなど書くつもりはありませんが、資料をひもとかずに大まかな記憶で書く事、……

二月歌舞伎座・夜の部

『熊谷陣屋』 【上出来過ぎて、まるで幻のような】 そんなに陣屋ばかり見せられてもなぁ……と思いながら足を運んだものの、当然ながらこの面子で下手な芝居な訳はない。言うまでもなく吉右衛門の熊谷はマイ熊谷の中の極め付けで、今までは掛かる度にいささかの違和感を感じ……