九月歌舞伎座・夜の部【奇数日】

寺子屋 幸四郎の武部源蔵、物思いに耽りながらの沈鬱な出が大変良かった。が、その沈鬱な芝居に引きずられてか、続く戸浪への物語りの描写にドラマチックな起伏がやや乏しい。ここでもう少し源蔵の覚悟のほどを描いて見せてくれれば、一連の出来事ののっぴきならない状況に一……