このサイトについて

タイトルの通り、このサイトはつぶやき以上〈140字以上〉原稿未満〈資料調査や推敲なし〉の、物書きの仕事外、映画芝居道楽の著者が一人語りの様に書く趣味のレビューサイトです。 無論、嘘・偽りなど書くつもりはありませんが、資料をひもとかずに大まかな記憶で書く事、……

『宇宙人の画家』(0号上映鑑賞時感想)

言葉で語ることが不可能な映画。まるで『宇宙人の画家』が描く光のキャンバスのような  少ない予算ながらも脚本や演出の工夫が上出来で、クチコミでじわじわ上映が拡大してゆく──昨今、そんなインディペンデント系映画のヒット作が定期的に生まれ、マニアックな映画ファン……

『アルトゥロ・ウイの興隆』(11/14)

ブレヒトを現在上演する意義は深い。しかし、そこには種々困難な問題がある。 劇中で比喩し、観客に問題提起している諸問題が今や過去のものとなり、何を話題にしているのかがわかりにくいという事(問題の核心は普遍的なものではあれども)、劇中会話に一種独特な冗長さがあ……

ミュージカル『魍魎の匣』(11/13)

2019年の舞台『魍魎の匣』の現代オペラのような演出、西岡徳馬、紫吹淳、 橘ケンチ、 高橋健介、田口涼の好演が大変好みで大満足、望みうる『魍魎の匣』の完全な実演と思うので、そのハードルを越えるのはかなり難しいだろう……と観る前は思っていた。 舞台『魍魎の匣……

スケアリーストーリーズ 怖い本

登場人物それぞれが体験する恐怖の未来が自動的に記されてゆく『怖い本』。その本の様に、この映画、恐らく観る人の受け取り方によってそれぞれ「恐怖」の質が変わってきます。僕にとって、これは本当に本当に怖い映画でした……。ホラー好きだけでなく、詩情と暗喩に豊んだヨ……

新派特別公演『八つ墓村』(2/16・2/23)

僕は横溝正史とアガサ・クリスティーが自分の創作の原点にある──と自認しているミステリー小説書きなのであるが、『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』『鬼火』……数多愛する横溝の傑作群の中でも、こと『八つ墓村』に関して、ひとたび語り出せばなかなか面倒な奴に……

『十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言』二月歌舞伎座・夜の部(2/22)

八陣守護城 まず、進之介がとても上手くなっていた。変な言い方かもしれないが、以前を知る方ならこの感想は解って下さるのではないか。悪く言うつもりではなくて、本来松嶋屋の御曹司の彼がその名の如く前進してくれる事は、上方歌舞伎ファンとしてとにかく嬉しい。遅いとい……

『十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言』二月歌舞伎座・昼の部(2/5)

菅原伝授手習鑑 加茂堤 前月歌舞伎座を観そびれたので久々の歌舞伎座での勘九郎。「いだてん」のブランクで雰囲気が変わってしまっているかな……と僅かに心配していたが、それは全くの杞憂、むしろ以前に増して「歌舞伎役者」としての面構えというか、雰囲気というか、そう……

屍人荘の殺人

浜辺美波と神木隆之介がとにかくかわいい。しかし、この映画の主役は間違いなく中村倫也。そして、その中村倫也=明智恭介に注視して観れば、この映画は単に原作のコメディー化というものでなく、「日本のミステリー映画、保守本流の美学」に則し、かつ、それをアップデートす……

十二月歌舞伎座・夜の部(12/15)

心霊矢口渡 最も良かったのは梅枝のお舟。その次が萬太郎の下男六蔵。 お舟が良いのは見物としても嬉しい事だが、次に挙がるのが下男六蔵というのは、やはり芝居としては少々不甲斐ない。 義峯とうてなは、まぁ、それほど押し出す役でもなく、何が悪かったという訳ではなく……

十月歌舞伎座・夜の部【偶数日】

通し狂言 三人吉三巴白浪 このところ、黙阿弥の言葉の美学・世界の広がりを感じさせる力をもたない「大川端」の見どりばかり見せられていたので(現在、大幹部以外でこの幕の見どりを成立させ得る役者はいない。そんなつまらない見取りを掛けるのはもうやめた方がいい)、久……