六月歌舞伎座・夜の部(6/20)

三谷かぶき『月光羅針路日本』 一幕が終わった時点では、これは駄目かと思った。 松也の使い方は新鮮でとても良く、馴染みの歌舞伎座をまるで別の空間の様に感じさせ、「これはこれからとんでもない事が起こるのではないか」と鳥肌の立つ様な期待を感じさせた。が、幕が開い……

六月歌舞伎座・昼の部(6/16)

『寿式三番叟』 人品そのものが要となる東蔵翁の立派さを除き、この幕で最も三番叟らしい景色を見せたのは松江だった。もう少し軽さに振るか、重さに振るか、どちらかに偏りを作ればより一層存在感を際立たせられたのではないかと感じるが、ふんわりした存在感もまたこの人一……

四月歌舞伎座・夜の部(4/21)

『実盛物語』 小万の腕を落とす顛末の「物語」、瀬尾の自害の後の顛末だけが能動的な見せ所で、あとはほとんど聴き役という実盛。しかし、その黙って聴いている間も仁左衛門の実盛は非常に精神が安定していて、信用できるひととなりが(平家からすればどうかという点はさて置……

三月歌舞伎座・昼の部(3/17)

『女鳴神』 『鳴神』の騙しと堕落の濃密なドラマの男女を入れ替え版……男女逆だとちょっと重たそう……と思っていたが、全然そんなことはなく、随分と大らかな作り変え作だった。少し色っぽい所作事という風情で、孝太郎と鴈治郎の上方の風情が大変映える。 『鳴神』はやは……

三月歌舞伎座・夜の部(初日)

『盛綱陣屋』 言うまでもなく……と言う以上に、当然ながら……というどころではなく仁左衛門が素晴らしい。 この人自身が能動的な芝居を演じて見せる場面が「格好良い」「見事な絵面になっている」という事は言うまでもなく(言うまでもなくとばかり言っている)、注進を受……

二月歌舞伎座・夜の部

『熊谷陣屋』 【上出来過ぎて、まるで幻のような】 そんなに陣屋ばかり見せられてもなぁ……と思いながら足を運んだものの、当然ながらこの面子で下手な芝居な訳はない。言うまでもなく吉右衛門の熊谷はマイ熊谷の中の極め付けで、今までは掛かる度にいささかの違和感を感じ……